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2026.07.21 ブログ

10年後に後悔しないための歯の教科書

第7回「治療した歯は元通りではないという事実」

院長メッセージ

こんにちは。

さがなかの歯医者さんやまもと 院長の山本真志です。

患者さんから、こんな言葉を聞くことがあります。

「虫歯になっても治療すれば大丈夫ですよね。」

「今は歯科医療も進歩しているから安心です。」

確かに、現代の歯科医療は昔に比べて大きく進歩しました。

白い詰め物や被せ物。

精密な根管治療。

インプラント。

以前なら残せなかった歯も、残せるようになっています。

それでも私は、患者さんに必ずお伝えしていることがあります。

「治療した歯は、元通りにはならない。」

今日は、この少し厳しい現実についてお話しします。

ですが、これは悲しい話ではありません。

未来の歯を守るために知っておいてほしい、大切な話です。


私たちの歯は、一度しか生えてきません

子どもの頃、乳歯が抜けると永久歯が生えてきます。

でも、その永久歯は一生に一度だけです。

折れても。

削っても。

虫歯になっても。

新しい永久歯は二度と生えてきません。

これは他の体の組織と大きく違うところです。

皮膚は傷が治ります。

骨は折れてもくっつきます。

でも歯は、自分で元通りに修復することはできません。

だから私たち歯科医師は、

「できるだけ削らない」

「できるだけ神経を残す」

ことを何より大切にしています。


虫歯を削るということ

虫歯になると、悪くなった部分を取り除きます。

これは必要な治療です。

しかし、その時に削った歯は戻りません。

代わりに詰め物や被せ物で補います。

つまり、

天然の歯の一部が人工の材料に置き換わる

ということです。

もちろん現在の材料はとても優れています。

見た目も自然です。

強度も高くなっています。

ですが、それでも天然の歯とは違います。


詰め物にも寿命があります

「この詰め物は一生もちますか?」

という質問をいただくことがあります。

答えは、

残念ながら、一生もつとは言い切れません。

どんなに精密に作られた詰め物でも、

長い年月の中で、

・すり減る

・接着が弱くなる

・境目から虫歯になる

ことがあります。

つまり、

詰め物そのものだけではなく、

詰め物と歯の境目

がとても重要なのです。


再治療は歯を少しずつ失わせる

歯科医師として一番避けたいことがあります。

それは、

同じ歯を何度も治療することです。

例えば、

小さな虫歯で詰め物をする。

数年後、その下が虫歯になる。

詰め物を外し、

さらに大きく削る。

今度は被せ物になる。

さらに年月が経ち、

神経を取る。

最後には歯が割れて抜歯になる。

これは決して珍しい流れではありません。

一回一回の治療は、

歯を守るために行っています。

でも現実には、

再治療のたびに天然の歯は少しずつ失われていく

のです。


「削る量」が歯の寿命を決める

天然の歯は、とても強い組織です。

しかし、

削れば削るほど強度は落ちていきます。

大きく削った歯は、

割れやすくなります。

神経を取った歯は、

さらにリスクが高くなります。

だから私たちは、

できるだけ歯を残そうとします。

これは治療をサボっているのではありません。

歯の寿命を考えた結果なのです。


予防が最大の治療

ここまで読むと、

「虫歯になったら終わりなの?」

そう思われるかもしれません。

そんなことはありません。

治療には大きな意味があります。

痛みを取り除き、

噛めるようになり、

歯を残すことができます。

でも本当に理想なのは、

治療が必要にならないことです。

つまり、

最大の治療は、

予防なのです。


歯科医師自身はどうしているのか

患者さんから、

「先生はどれくらい歯医者に行くんですか?」

と聞かれることがあります。

答えは、

定期的に診てもらっています。

歯科医師だから虫歯にならないわけではありません。

だからこそ、

早く見つけることの大切さを知っています。

小さいうちに見つける。

小さいうちに対応する。

これが、

歯を長く残す一番の近道です。


私たちが目指している歯科医療

歯科医院というと、

「削る場所」

というイメージがあるかもしれません。

でも、私たちが目指しているのは違います。

できるだけ削らない。

できるだけ神経を守る。

できるだけ再治療を減らす。

そして、

患者さんが80歳、90歳になっても、自分の歯で食事を楽しめること。

それが私たちの目標です。


今日からできること

もし今、

虫歯がないなら、

それはとても幸せなことです。

その状態を守ってください。

もし治療した歯があるなら、

その歯を大切にしてください。

定期検診で確認する。

歯磨きを見直す。

フロスを使う。

小さな積み重ねが、

再治療を防ぎます。


最後に

天然の歯には、

人工物では代えられない価値があります。

だから私たちは、

「治すこと」よりも、

「守ること」を大切にしています。

歯科医療は、

悪くなった歯を治す技術だけではありません。

健康な歯を未来へつなぐ医療でもあります。

10年後も。

20年後も。

あなたが自分の歯で食事を楽しみ、

心から笑えるように。

そのために今日できることを、一緒に積み重ねていきましょう。