2026.09.27 ブログ
歯科医師の僕なら、こう選ぶ。
第7回「もし僕が『被せ物は保険と自費、どちらにしますか?』と聞かれたら?」
院長メッセージ
こんにちは。
さがなかの歯医者さんやまもと 院長の山本真志です。
シリーズ、
「歯科医師の僕なら、こう選ぶ。」
第7回です。
今回のテーマは、患者さんから本当によく聞かれる質問です。
虫歯の治療が進み、被せ物が必要になった時、
「保険のものと自費のものがありますが、どうしますか?」
と言われた。
銀色のもの。
白いもの。
ジルコニア。
セラミック。
ゴールド。
いろいろ説明されたけれど、
正直、
「結局どれがいいの?」
と思ったことはないでしょうか。
そして、最後にはこう聞きたくなると思います。
「先生自身だったら、どれを入れますか?」
今回は、この質問に逃げずに答えてみたいと思います。
最初に結論から言います。
僕なら、
「一番高いものを選ぶ」ことはしません。
反対に、
「一番安いもので十分」と値段だけで決めることもしません。
僕が一番大切にするのは、
その歯をできるだけ長く使うために、どの選択が合理的なのか。
です。
僕なら、まず「材料」から選ばない
患者さんから、
「ジルコニアとセラミック、どちらがいいですか?」
と聞かれることがあります。
でも僕自身が患者なら、
いきなり材料を選びません。
まず確認したいのは、
「この歯は今、どんな状態なのか?」
です。
前歯なのか。
奥歯なのか。
どのくらい天然の歯が残っているのか。
神経があるのか、ないのか。
噛む力は強いのか。
歯ぎしりや食いしばりはあるのか。
隣の歯は何で治療されているのか。
見た目をどこまで求めるのか。
それによって答えは変わります。
つまり、
「一番良い材料は何ですか?」という質問には、本当は一つの答えがありません。
その人、その歯、その場所に合う材料を考える。
僕ならそこから始めます。
そもそも、被せ物の目的は何なのか?
被せ物というと、
「削った歯の上にかぶせるもの」
というイメージだと思います。
もちろんその通りです。
でも僕なら、
被せ物を単なる「フタ」だとは考えません。
その歯で、
毎日何百回、何千回と噛みます。
硬いものも食べます。
熱いものも冷たいものも入ってきます。
そこに唾液があり、
細菌がいて、
毎日歯ブラシも当たります。
それを何年も繰り返します。
つまり被せ物は、
過酷な環境で自分の歯を守り続けるもの
です。
だから僕なら、
治療した日の見た目だけでは決めません。
5年後、10年後まで考えて選びます。
保険診療ならダメなのか?
ここははっきり言いたいと思います。
そんなことはありません。
保険診療は、日本の医療制度の中で定められた材料や方法を用いて治療を行うものです。
状態によっては、保険診療で十分に目的を果たせるケースもあります。
僕自身も、
「保険だからダメ」
という考え方はしません。
患者さんの希望。
費用。
歯の状態。
治療する場所。
それらを考えた結果、保険診療を選ぶことは当然あります。
ただし僕自身が患者なら、
もう一歩聞きます。
「保険と自費で、値段以外に何が違うんですか?」
ここを知ってから決めたいと思います。
「白い歯=全部同じ」ではありません
患者さんからすると、
白い歯なら全部同じように見えるかもしれません。
でも実際には、
材料によって特徴が違います。
見た目。
強度。
硬さ。
割れにくさ。
すり減り方。
表面の性質。
加工方法。
そして、どんな症例に向いているか。
それぞれ違います。
だから、
「白いからこれでいい」
だけでは、僕なら決めません。
逆に、
「一番硬い材料なら安心」
とも考えません。
歯科材料は、
硬ければ硬いほど無条件に良いわけではない
からです。
噛み合わせや反対側の歯との関係まで考える必要があります。
僕なら前歯と奥歯でも考え方を変えます
例えば前歯。
前歯は、人からよく見える場所です。
色。
透明感。
形。
隣の天然歯との調和。
こうした審美性を、僕自身ならかなり重視します。
だから前歯なら、
自然な見た目を再現できるか
を大切にします。
一方、奥歯ではどうでしょう。
もちろん見た目も大切ですが、
僕ならそれ以上に、
噛む力にどう耐えるのか
を考えます。
奥歯には大きな力がかかります。
特に、
歯ぎしり。
食いしばり。
噛む力が強い。
こうした条件があるなら、材料選びも変わってきます。
つまり、
口の中全部を同じ材料で統一すればいいわけではありません。
僕なら、歯ごとに考えます。
ジルコニアならどう考える?
ジルコニアは、現在の歯科治療で広く使われている材料の一つです。
強度が高く、白い。
金属を使わずに治療できる。
そういった特徴があります。
特に力のかかる場所では、選択肢になることがあります。
では僕自身なら、
「丈夫そうだから全部ジルコニア!」
とするか。
しません。
噛み合わせ。
歯の位置。
必要な厚み。
見た目。
相手側の歯。
そういった条件を見ます。
材料の名前より、
その場所に使うことが適切か
を重視します。
セラミックならどう考える?
セラミック系の材料は、自然な色調や透明感を表現しやすいものがあります。
前歯など、見た目を特に大切にしたい場所では大きなメリットがあります。
もし僕自身の前歯で、
健康な歯をできるだけ残しながら、自然な見た目を回復できるのであれば、
セラミック系材料を検討すると思います。
でも、
「きれいだから」という理由だけで選ぶわけではありません。
強度や噛み合わせ。
残っている歯の量。
その歯にどんな力がかかるのか。
それらを考えます。
きれいだけれど壊れやすい治療では、長期的に良い治療とは言えません。
見た目と機能。
両方が必要です。
ゴールドならどう考える?
「今の時代に金歯?」
と思う方もいるかもしれません。
確かに見た目では好みが分かれます。
特に人から見える場所では、僕自身も選びにくいと思います。
でも、
歯科材料として考えると、ゴールドには独特の特徴があります。
適合や加工性などの面から、症例によっては今でも選択肢になります。
だから僕は、
「古いからダメ」
とも思いません。
歯科治療はファッションではありません。
新しい材料だから正解。
昔からある材料だから不正解。
そんな単純なものではないと思っています。
僕なら、
見えにくい奥歯などで条件が合えば、ゴールドも選択肢として考えます。
僕が一番避けたいのは「再治療の繰り返し」
材料を選ぶ時、
僕がかなり気にすることがあります。
それが、
再治療です。
被せ物を入れる。
何年か後に問題が起きる。
外す。
また歯を削る。
新しい被せ物を入れる。
さらに再治療。
このたびに、天然の歯が少しずつ失われる可能性があります。
だから僕自身なら、
単純に
「何年もつ材料ですか?」
だけではなく、
「再治療になった時、この歯にどれくらい負担がかかりますか?」
まで考えたい。
僕にとって最終目標は、
被せ物を長持ちさせることではありません。
被せ物の下にある自分の歯を長持ちさせること
です。
ここは、似ているようで全然違います。
「一番高い=一番良い」ではありません
自費診療では、
材料によって費用が変わります。
だから患者さんからすると、
「高い方が良いんですよね?」
と思うかもしれません。
でも、
僕はそういう説明はしたくありません。
高価な材料にも、
向いている場所と向いていない場所があります。
患者さんが何を大切にするかによっても選択は変わります。
だから、
値段の順番と、
その患者さんにとっての治療の価値は、
必ずしも同じではありません。
僕自身なら、
「一番高いもの」ではなく、「自分の歯に一番合っているもの」
を選びます。
逆に「安ければ何でもいい」とも考えません
これも僕自身なら、という話です。
歯は、
一度削ったら戻りません。
そして被せ物は、
毎日使います。
1日だけ使うものではありません。
何年も、
毎日、
食事のたびに使います。
だから僕自身なら、
価格だけで一番安いものを選ぶこともしないと思います。
今日支払う金額だけではなく、
その治療によって何年間、自分の歯を守ることを目指せるのか
まで考えます。
これは、
「高い治療を選びましょう」
という意味ではありません。
値段だけで決めない
ということです。
僕なら「自分の口には使わないもの」もあります
ここは、このシリーズだから本音で書きます。
治療方法にはいろいろな選択肢があります。
でも、
歯科医師として材料の特徴や長期的なことまで考えた時、
僕自身なら積極的には選ばない材料もあります。
もちろん、それがすべての患者さんにとって悪いという意味ではありません。
費用や治療条件などによって、その材料に意味がある場合もあります。
だから僕の価値観を患者さんに押しつけるつもりはありません。
ただ、
「先生自身だったらどうしますか?」
と聞かれたら、
僕はごまかさずに答えたいと思っています。
そして、
なぜ自分ならそう選ぶのか
まで説明したい。
それがこのシリーズを書いている理由でもあります。
僕なら「やり直しやすさ」まで考える
どんな治療も、
「一生絶対に問題が起こらない」
とは言えません。
だから僕なら、
もし将来問題が起きた時、
その次にどう治療できるのかも考えます。
今の治療だけを見るのではなく、
次の一手が残っているか。
これはすごく大切だと思っています。
40歳で治療した歯なら、
50歳。
60歳。
70歳。
その先まで使うかもしれません。
だから僕なら、
「今、一番きれいに治る方法」だけではなく、
「人生の最後まで、この歯をどうつないでいくか」
という視点を持ちたいと思います。
結局、僕なら何を選ぶのか?
ここまで読んで、
「結局、先生なら何を入れるの?」
と思いますよね。
答えます。
僕なら、
場所と状態によって変えます。
前歯で審美性を大切にしたいなら、
セラミック系材料を検討すると思います。
奥歯で強い力がかかるなら、
ジルコニアなども有力な選択肢として考えます。
条件によっては、
ゴールドも候補に入れます。
そして、
保険診療で十分に目的を達成でき、自分自身が納得できるケースなら、保険診療を選ぶこともあると思います。
つまり、
僕なら「全部これ」とは決めません。
その歯に合うものを選びます。
そして何より、
材料を決める前に、
できるだけ自分の歯を残せる治療方法を考えます。
僕にとって、
最高の材料は、
ジルコニアでも、
セラミックでも、
ゴールドでもありません。
一番は、自分の天然の歯です。
人工材料は、
その天然歯を守るために使うもの。
僕はそう考えています。
最後に
被せ物を選ぶ時、
患者さんが迷うのは当然です。
値段も違う。
見た目も違う。
材料の名前も難しい。
インターネットを調べれば、
「これが最強」
「これは絶対ダメ」
という情報もたくさん出てきます。
でも、
口の中は一人ひとり違います。
だから、
分からなければ聞いてください。
「この歯には、なぜこの材料なんですか?」
「保険と自費では何が違うんですか?」
「メリットだけじゃなく、デメリットも教えてください」
そして、
「先生自身なら何を選びますか?」
もちろん大歓迎です。
私たちが大切にしているのは、
「話をしましょう」
ということです。
自費診療を選ぶことが正解なのではありません。
保険診療を選ぶことが間違いなのでもありません。
大切なのは、
自分の歯の状態を知り、
選択肢を知り、
違いを理解して、
自分自身が納得して選ぶこと。
僕自身が患者だったとしても、
そうしたいと思います。
そして治療したその日に、
「きれいになった」
だけではなく、
10年後に、
「あの時、この選択をしてよかった」
と思える治療を選びたい。
僕にとって、
良い被せ物とは、
一番高い被せ物ではありません。
その下にある自分の歯を、できるだけ長く守ってくれる被せ物。
僕なら、そこを一番大切にします。
次回予告
第8回「もし僕が『歯を白くしたい』と思ったら、何をするのか?」
ホワイトニング?
クリーニング?
セラミック?
市販の歯磨き粉?
SNSには「歯を白くする方法」がたくさん出ています。
でも歯科医師自身なら、
いきなりホワイトニングはしないかもしれません。
まず何を確認するのか。
どこまで白くするのか。
「真っ白」と「自然できれい」は何が違うのか。
そして、
僕自身ならオフィス・ホーム・セルフのどれを選ぶのか。
次回は、見た目だけではない「歯の白さ」について、本音でお話しします。
第7回「もし僕が『被せ物は保険と自費、どちらにしますか?』と聞かれたら?」
院長メッセージ
こんにちは。
さがなかの歯医者さんやまもと 院長の山本真志です。
シリーズ、
「歯科医師の僕なら、こう選ぶ。」
第7回です。
今回のテーマは、患者さんから本当によく聞かれる質問です。
虫歯の治療が進み、被せ物が必要になった時、
「保険のものと自費のものがありますが、どうしますか?」
と言われた。
銀色のもの。
白いもの。
ジルコニア。
セラミック。
ゴールド。
いろいろ説明されたけれど、
正直、
「結局どれがいいの?」
と思ったことはないでしょうか。
そして、最後にはこう聞きたくなると思います。
「先生自身だったら、どれを入れますか?」
今回は、この質問に逃げずに答えてみたいと思います。
最初に結論から言います。
僕なら、
「一番高いものを選ぶ」ことはしません。
反対に、
「一番安いもので十分」と値段だけで決めることもしません。
僕が一番大切にするのは、
その歯をできるだけ長く使うために、どの選択が合理的なのか。
です。
僕なら、まず「材料」から選ばない
患者さんから、
「ジルコニアとセラミック、どちらがいいですか?」
と聞かれることがあります。
でも僕自身が患者なら、
いきなり材料を選びません。
まず確認したいのは、
「この歯は今、どんな状態なのか?」
です。
前歯なのか。
奥歯なのか。
どのくらい天然の歯が残っているのか。
神経があるのか、ないのか。
噛む力は強いのか。
歯ぎしりや食いしばりはあるのか。
隣の歯は何で治療されているのか。
見た目をどこまで求めるのか。
それによって答えは変わります。
つまり、
「一番良い材料は何ですか?」という質問には、本当は一つの答えがありません。
その人、その歯、その場所に合う材料を考える。
僕ならそこから始めます。
そもそも、被せ物の目的は何なのか?
被せ物というと、
「削った歯の上にかぶせるもの」
というイメージだと思います。
もちろんその通りです。
でも僕なら、
被せ物を単なる「フタ」だとは考えません。
その歯で、
毎日何百回、何千回と噛みます。
硬いものも食べます。
熱いものも冷たいものも入ってきます。
そこに唾液があり、
細菌がいて、
毎日歯ブラシも当たります。
それを何年も繰り返します。
つまり被せ物は、
過酷な環境で自分の歯を守り続けるもの
です。
だから僕なら、
治療した日の見た目だけでは決めません。
5年後、10年後まで考えて選びます。
保険診療ならダメなのか?
ここははっきり言いたいと思います。
そんなことはありません。
保険診療は、日本の医療制度の中で定められた材料や方法を用いて治療を行うものです。
状態によっては、保険診療で十分に目的を果たせるケースもあります。
僕自身も、
「保険だからダメ」
という考え方はしません。
患者さんの希望。
費用。
歯の状態。
治療する場所。
それらを考えた結果、保険診療を選ぶことは当然あります。
ただし僕自身が患者なら、
もう一歩聞きます。
「保険と自費で、値段以外に何が違うんですか?」
ここを知ってから決めたいと思います。
「白い歯=全部同じ」ではありません
患者さんからすると、
白い歯なら全部同じように見えるかもしれません。
でも実際には、
材料によって特徴が違います。
見た目。
強度。
硬さ。
割れにくさ。
すり減り方。
表面の性質。
加工方法。
そして、どんな症例に向いているか。
それぞれ違います。
だから、
「白いからこれでいい」
だけでは、僕なら決めません。
逆に、
「一番硬い材料なら安心」
とも考えません。
歯科材料は、
硬ければ硬いほど無条件に良いわけではない
からです。
噛み合わせや反対側の歯との関係まで考える必要があります。
僕なら前歯と奥歯でも考え方を変えます
例えば前歯。
前歯は、人からよく見える場所です。
色。
透明感。
形。
隣の天然歯との調和。
こうした審美性を、僕自身ならかなり重視します。
だから前歯なら、
自然な見た目を再現できるか
を大切にします。
一方、奥歯ではどうでしょう。
もちろん見た目も大切ですが、
僕ならそれ以上に、
噛む力にどう耐えるのか
を考えます。
奥歯には大きな力がかかります。
特に、
歯ぎしり。
食いしばり。
噛む力が強い。
こうした条件があるなら、材料選びも変わってきます。
つまり、
口の中全部を同じ材料で統一すればいいわけではありません。
僕なら、歯ごとに考えます。
ジルコニアならどう考える?
ジルコニアは、現在の歯科治療で広く使われている材料の一つです。
強度が高く、白い。
金属を使わずに治療できる。
そういった特徴があります。
特に力のかかる場所では、選択肢になることがあります。
では僕自身なら、
「丈夫そうだから全部ジルコニア!」
とするか。
しません。
噛み合わせ。
歯の位置。
必要な厚み。
見た目。
相手側の歯。
そういった条件を見ます。
材料の名前より、
その場所に使うことが適切か
を重視します。
セラミックならどう考える?
セラミック系の材料は、自然な色調や透明感を表現しやすいものがあります。
前歯など、見た目を特に大切にしたい場所では大きなメリットがあります。
もし僕自身の前歯で、
健康な歯をできるだけ残しながら、自然な見た目を回復できるのであれば、
セラミック系材料を検討すると思います。
でも、
「きれいだから」という理由だけで選ぶわけではありません。
強度や噛み合わせ。
残っている歯の量。
その歯にどんな力がかかるのか。
それらを考えます。
きれいだけれど壊れやすい治療では、長期的に良い治療とは言えません。
見た目と機能。
両方が必要です。
ゴールドならどう考える?
「今の時代に金歯?」
と思う方もいるかもしれません。
確かに見た目では好みが分かれます。
特に人から見える場所では、僕自身も選びにくいと思います。
でも、
歯科材料として考えると、ゴールドには独特の特徴があります。
適合や加工性などの面から、症例によっては今でも選択肢になります。
だから僕は、
「古いからダメ」
とも思いません。
歯科治療はファッションではありません。
新しい材料だから正解。
昔からある材料だから不正解。
そんな単純なものではないと思っています。
僕なら、
見えにくい奥歯などで条件が合えば、ゴールドも選択肢として考えます。
僕が一番避けたいのは「再治療の繰り返し」
材料を選ぶ時、
僕がかなり気にすることがあります。
それが、
再治療です。
被せ物を入れる。
何年か後に問題が起きる。
外す。
また歯を削る。
新しい被せ物を入れる。
さらに再治療。
このたびに、天然の歯が少しずつ失われる可能性があります。
だから僕自身なら、
単純に
「何年もつ材料ですか?」
だけではなく、
「再治療になった時、この歯にどれくらい負担がかかりますか?」
まで考えたい。
僕にとって最終目標は、
被せ物を長持ちさせることではありません。
被せ物の下にある自分の歯を長持ちさせること
です。
ここは、似ているようで全然違います。
「一番高い=一番良い」ではありません
自費診療では、
材料によって費用が変わります。
だから患者さんからすると、
「高い方が良いんですよね?」
と思うかもしれません。
でも、
僕はそういう説明はしたくありません。
高価な材料にも、
向いている場所と向いていない場所があります。
患者さんが何を大切にするかによっても選択は変わります。
だから、
値段の順番と、
その患者さんにとっての治療の価値は、
必ずしも同じではありません。
僕自身なら、
「一番高いもの」ではなく、「自分の歯に一番合っているもの」
を選びます。
逆に「安ければ何でもいい」とも考えません
これも僕自身なら、という話です。
歯は、
一度削ったら戻りません。
そして被せ物は、
毎日使います。
1日だけ使うものではありません。
何年も、
毎日、
食事のたびに使います。
だから僕自身なら、
価格だけで一番安いものを選ぶこともしないと思います。
今日支払う金額だけではなく、
その治療によって何年間、自分の歯を守ることを目指せるのか
まで考えます。
これは、
「高い治療を選びましょう」
という意味ではありません。
値段だけで決めない
ということです。
僕なら「自分の口には使わないもの」もあります
ここは、このシリーズだから本音で書きます。
治療方法にはいろいろな選択肢があります。
でも、
歯科医師として材料の特徴や長期的なことまで考えた時、
僕自身なら積極的には選ばない材料もあります。
もちろん、それがすべての患者さんにとって悪いという意味ではありません。
費用や治療条件などによって、その材料に意味がある場合もあります。
だから僕の価値観を患者さんに押しつけるつもりはありません。
ただ、
「先生自身だったらどうしますか?」
と聞かれたら、
僕はごまかさずに答えたいと思っています。
そして、
なぜ自分ならそう選ぶのか
まで説明したい。
それがこのシリーズを書いている理由でもあります。
僕なら「やり直しやすさ」まで考える
どんな治療も、
「一生絶対に問題が起こらない」
とは言えません。
だから僕なら、
もし将来問題が起きた時、
その次にどう治療できるのかも考えます。
今の治療だけを見るのではなく、
次の一手が残っているか。
これはすごく大切だと思っています。
40歳で治療した歯なら、
50歳。
60歳。
70歳。
その先まで使うかもしれません。
だから僕なら、
「今、一番きれいに治る方法」だけではなく、
「人生の最後まで、この歯をどうつないでいくか」
という視点を持ちたいと思います。
結局、僕なら何を選ぶのか?
ここまで読んで、
「結局、先生なら何を入れるの?」
と思いますよね。
答えます。
僕なら、
場所と状態によって変えます。
前歯で審美性を大切にしたいなら、
セラミック系材料を検討すると思います。
奥歯で強い力がかかるなら、
ジルコニアなども有力な選択肢として考えます。
条件によっては、
ゴールドも候補に入れます。
そして、
保険診療で十分に目的を達成でき、自分自身が納得できるケースなら、保険診療を選ぶこともあると思います。
つまり、
僕なら「全部これ」とは決めません。
その歯に合うものを選びます。
そして何より、
材料を決める前に、
できるだけ自分の歯を残せる治療方法を考えます。
僕にとって、
最高の材料は、
ジルコニアでも、
セラミックでも、
ゴールドでもありません。
一番は、自分の天然の歯です。
人工材料は、
その天然歯を守るために使うもの。
僕はそう考えています。
最後に
被せ物を選ぶ時、
患者さんが迷うのは当然です。
値段も違う。
見た目も違う。
材料の名前も難しい。
インターネットを調べれば、
「これが最強」
「これは絶対ダメ」
という情報もたくさん出てきます。
でも、
口の中は一人ひとり違います。
だから、
分からなければ聞いてください。
「この歯には、なぜこの材料なんですか?」
「保険と自費では何が違うんですか?」
「メリットだけじゃなく、デメリットも教えてください」
そして、
「先生自身なら何を選びますか?」
もちろん大歓迎です。
私たちが大切にしているのは、
「話をしましょう」
ということです。
自費診療を選ぶことが正解なのではありません。
保険診療を選ぶことが間違いなのでもありません。
大切なのは、
自分の歯の状態を知り、
選択肢を知り、
違いを理解して、
自分自身が納得して選ぶこと。
僕自身が患者だったとしても、
そうしたいと思います。
そして治療したその日に、
「きれいになった」
だけではなく、
10年後に、
「あの時、この選択をしてよかった」
と思える治療を選びたい。
僕にとって、
良い被せ物とは、
一番高い被せ物ではありません。
その下にある自分の歯を、できるだけ長く守ってくれる被せ物。
僕なら、そこを一番大切にします。
次回予告
第8回「もし僕が『歯を白くしたい』と思ったら、何をするのか?」
ホワイトニング?
クリーニング?
セラミック?
市販の歯磨き粉?
SNSには「歯を白くする方法」がたくさん出ています。
でも歯科医師自身なら、
いきなりホワイトニングはしないかもしれません。
まず何を確認するのか。
どこまで白くするのか。
「真っ白」と「自然できれい」は何が違うのか。
そして、
僕自身ならオフィス・ホーム・セルフのどれを選ぶのか。
次回は、見た目だけではない「歯の白さ」について、本音でお話しします。