はじめに

歯科治療では、むし歯や歯周病などのトラブルを解決することが主な目的ですが、治療後の再発を防ぐ「予防」の観点も非常に重要です。特に、使用する治療材質によっては、二次むし歯のリスクを減らし、より長持ちする治療が可能になります。

本記事では、治療材質がどのように予防に関与するのかを詳しく解説します。

治療材質による予防の可能性

1. 金属 vs セラミック vs 樹脂 vs ゴールド

治療に用いられる代表的な材質には、金属（銀歯）、セラミック、レジン（樹脂）、そしてゴールド（金歯）などがあります。それぞれの特性が予防の観点からどのように影響するのかを見ていきましょう。

• 金属（銀歯）
  • 長持ちはするが、経年劣化による隙間が生じやすい
  • 接着面が劣化すると二次むし歯のリスクが高まる
  • 金属アレルギーのリスクがある
• セラミック
  • 精密な適合性があり、隙間ができにくい
  • 口腔内環境を悪化させにくく、むし歯の再発リスクが低い
  • 見た目が自然で、審美性に優れる
• レジン（樹脂）
  • 初期治療には適しているが、経年劣化しやすい
  • 吸水性があるため、プラークが付着しやすい
  • 費用が安価だが、長期的な耐久性には劣る
• ゴールド（金歯）
  • 非常に精密な適合性があり、隙間ができにくい
  • 耐久性が高く、摩耗しにくい
  • 生体親和性が高く、金属アレルギーのリスクが低い
  • 咬み合わせに優れ、周囲の歯を傷めにくい

2. 二次むし歯のリスクを減らす材質

二次むし歯（治療した部分の再発）は、詰め物や被せ物と歯の間に隙間ができ、そこから細菌が侵入することで発生します。そのため、隙間ができにくい材質を選ぶことが予防に繋がります。

特に、ゴールドとセラミックは精密な適合性があり、二次むし歯を防ぐのに適しています。

3. 抗菌性のある材質

最近では、抗菌性を持つ材料も開発されており、これらを使用することで細菌の繁殖を抑えることが可能です。

• 銀を含むセメントや充填材（抗菌作用あり）
• フッ素放出型セメント（歯を強化しつつむし歯リスクを低減）

予防に適した治療材質の選び方

1. 咬合力と噛み合わせの影響

奥歯では強い咬合力がかかるため、耐久性がある材質（セラミックやゴールド）が適しています。ゴールドは特に、適度な柔軟性があるため、周囲の歯への影響が少なく、噛み合わせの負担を軽減します。

2. 口腔内の環境

唾液の分泌量や口腔内の酸性度が影響するため、再発リスクが高い患者には、より適合性の高いゴールドやセラミックを推奨することが多いです。

3. メンテナンスのしやすさ

材質によっては汚れが付着しやすいものもあります。セラミックやゴールドはプラークが付きにくく、レジンは吸水性があるため定期的な交換が必要になります。

治療と予防を両立するために

患者さん自身が適切なケアを行うことも重要です。

• 定期検診を受ける（材質の劣化を早期発見）
• セルフケアを徹底する（フロスや歯間ブラシを使用）
• 食生活を見直す（酸性の強い飲食物を控える）

まとめ

歯科治療は単なる修復ではなく、長期的な健康維持が目的です。材質選びによっては、二次むし歯のリスクを減らし、予防にもつながります。

特に、ゴールドは耐久性が高く、適合性に優れ、咬み合わせにも適しているため、長期的な健康を考えた際に有力な選択肢となります。

治療の際には、耐久性や適合性、抗菌性を考慮しながら、最適な材質を選びましょう。歯科医と相談しながら、ご自身に合った選択をすることが大切です。