「乳歯の外傷は、永久歯にも影響するの？」と心配される方も多いかと思います。乳歯は永久歯へと生え変わりますが、程度によっては乳歯の受けた外傷が永久歯の発育に影響を及ぼす可能性があります。

今回は、乳歯の外傷への対応について、お話しします。

よくある乳歯の外傷とは

「元気に遊ぶのが仕事」といわれるくらい、お子さまにとって体を動かすことは大切なことです。しかし、転んだりぶつかったりして歯が欠けたり、抜けたりすると保護者の皆さまはとても心配されることと思います。

ここでは、実際に乳歯の外傷でよくある症状とはどのようなものか、みていきましょう。

歯がグラグラする

もっともよくある症状として、「乳歯の揺れ」があります。歯はグラグラしているけれど、位置が移動していない場合を「亜脱臼」、位置も変わってしまっている場合を「完全脱臼」と呼びます。

完全脱臼にはさまざまあり、歯が抜け落ちてしまうこともありますし、飛び出してきたり、逆に歯ぐきの奥へ入り込んでしまうこともあります。亜脱臼、完全脱臼に共通していることは、「歯そのものは欠けたり割れたりしていない」ということです。

歯が折れる・欠ける

歯をぶつけた衝撃で、歯の一部が欠けたり折れたりすることがあります。欠けの程度が軽ければ、痛みなどは感じにくいとされており、大きく欠けて歯の神経が露出してしまうと、強い痛みがでてくることが多いです。

見た目には大きな変化は見られなくても、歯ぐきの中で歯が折れていることもあるので気をつけましょう。

歯の変色・歯ぐきの腫れ

歯をぶつけてすぐに、歯が赤っぽい変色を起こすことがあります。また、しばらく経ってから黒ずんできたり、歯ぐきが腫れてくることもあります。これは歯の神経によって起こる変化で、気をつける必要があります。

乳歯の外傷への対処法

亜脱臼の場合

基本的には安静にしていれば自然と落ち着いてくることがほとんどです。ただし、噛んだとき強い痛みがあったりする場合には、歯科医院で歯を固定することもありますので、まずはご相談ください。

完全脱臼の場合

乳歯が完全脱臼した場合には、元の位置に戻して固定する方法が一般的です。完全に抜け落ちた歯は、捨てずに歯科医院へ持っていきましょう。抜けた歯を水道水で洗ったりせず、そのまま牛乳に浸した状態にして、２時間以内に歯科医院で診てもらうのがベストです。そうすることで、再植(元の位置に戻すこと)ができる可能性がぐっと上がります。

欠けたり折れたりした場合

小さく欠けただけならそのままにしたり、樹脂で補修したりして経過をみます。神経に達するほど大きく欠けたり折れたりした場合には、神経をとる処置をする場合もあります。

歯の変色がみられる場合

「歯の変色は神経が死んでる証拠」と思われる方も多いですが、必ずしもそうとは限りません。外傷により、一時的に神経が充血しても変色します。注意が必要なのは、数週間以上経ってから変色してくる場合です。痛みが出てきたり、後から生えてくる永久歯に影響があると考える場合には、神経をとる処置をおこなうことがあります。

どのタイミングで診てもらったほうがいい？

乳歯の外傷で歯医者に行く目安として、しっかり血が止まり、見た目にも全く異常が見られない場合でもなるべく当日の受診をお勧めします。また、痛みが数週間してから出てくることもありますので、異変を感じたら早めに受診しておくほうが安心です。

その他、少しでも異変がある場合には早めに受診をしましょう。特に、歯が抜けた場合は時間との勝負ですので、歯科医院にその旨を伝えすぐに受診するのがおすすめです。

お子さまは、まだ上手に状況を伝えることができない場面も多くあるかと思います。外傷したところは、時間が経ってからも保護者のかたが観察を続けてあげましょう。