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2024.02.08 ブログ

歯肉炎と歯周炎の違い

「歯周病」や「歯槽膿漏」など、歯ぐきの炎症にはさまざまな呼び方があります。なかでも「歯肉炎」と「歯周炎」は、名前が似ていることから混同されがちです。それぞれどのようなものかご存知でしょうか?

今回は、歯肉炎と歯周炎の違いについて、お話しします。

歯肉炎とは?

歯肉炎とは、文字通り「歯肉」に炎症が起きている状態です。歯肉とは、歯ぐきのことを指します。歯周病の初期症状ともいわれており、次のような症状が見られます。

・歯ぐきの赤みや腫れ

・歯ぐきからの出血

歯ブラシで歯を磨いたときや、デンタルフロスを使用したとき、硬いものを齧ったときなどに出血する場合、歯肉炎である可能性が高いです。歯肉炎の段階であれば、適切な処置をすることで改善する見込みが十分にあります。

歯周炎とは?

歯周炎とは、歯肉炎が進行し、歯周組織にまで炎症が起きている状態です。歯周組織とは、歯を支えている組織全体を指し、歯ぐきのみでなく歯を支える骨なども含まれます。症状は次の通りです。

・歯ぐきの赤みや腫れ

・歯ぐきからの出血

・口臭を感じる

・歯ぐきから膿みがでる

・歯がグラグラする

歯周炎は軽度〜重度に分類され、進行するほどに歯を支える組織が破壊されていきます。最終的には歯を支えることができなくなるため、抜歯が必要になったり、自然に歯が抜けてしまったりします。

30代以上の3人に2人が歯周病!?

成人の約8割が歯周病、といわれることもあるほど、歯周病は身近な病気のひとつです。歯肉炎、歯周炎はどちらも歯周病に分類され、歯を失う原因の第一位とされています。

「歯を失うのは、むし歯が原因」だと思われがちですが、実際には歯周病による喪失が最も多い、ということに驚く方も多いかもしれません。歯周病はむし歯とは違い、初期段階での自覚症状の少ない病気であることも、歯周病を進行させてしまう原因と考えられています。

歯肉炎・歯周炎の治療方法は?

歯肉炎や歯周炎を治療するためには、ご自身で行っていただく「セルフケア」と、歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」の両方が大切です。歯周病の原因はいくつか考えられますが、歯垢(プラーク)や歯石を取り除き細菌を減らすことで、改善しやすくなります。

まずは「検査・診断」から

治療を行う場合、まずは検査と診断を行います。

歯垢の付着具合や出血の有無、歯の揺れの有無、ポケットの深さなどを専用の器具を使って調べ、検査結果から、歯周病の進行具合を診断します。

「歯周基本治療」で細菌を減らす

歯周基本治療では、ブラッシングによる歯垢除去や専用の器具による歯石除去を行い、歯の表面を滑らかにしていきます。

専門家による「プロフェッショナルケア」だけでなく、ブラッシング指導やモチベーションアップなど「セルフケア」を身につけていただくことも、歯周基本治療を行ううえで重要です。

再評価し、必要があれば「歯周外科治療」へ

歯周基本治療を行うことで、歯肉炎であれば改善することがほとんどですが、進行している歯周炎などそのままでは改善の難しい場合には、外科処置を行うこともあります。

麻酔をして歯ぐきを切り開き、歯ぐきの下の汚れを目視で確認しながら除去する「フラップ手術」や、歯周組織の再生を促す材料を使用し、新しい歯周組織ができるのを待つ「歯周組織再生治療」などが主に行われます。

改善後、安定したら「定期的なケア」を

どんなに徹底的に歯周病を治療しても、完治は難しいと言われています。また、歯周病は再発しやすい病気といわれているため、定期的なおくちのケアを受けて再発の予防をしましょう。

日々のお手入れは問題なくできているか、歯周病の再発の兆候はないか、是非定期検診でチェックを受けることをおすすめします。