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2023.09.20 ブログ

酸蝕症について

ダイヤモンドのように固いといわれている歯ですが、おくちの中の環境によっては溶けてしまうことがあることをご存知でしょうか?

今回は歯を溶かす「酸蝕症」について、お話しします。

酸蝕症の特徴とは?

「酸蝕症」とは、おくちの中の酸によって歯の表面が溶かされてしまう状態をいいます。「蝕」には「むしばむ」という意味があり、酸によって少しずつ侵食されるということを表します。

酸蝕症になった歯には、次のような特徴が現れます。

  • 歯がしみやすくなる
  • 歯の先端が透けたようになる
  • 歯が黄ばんだように見える
  • 噛み合わせの部分が平らになる

酸蝕症になると、そこからむし歯にもなりやすくなるので注意が必要です。むし歯も酸により歯が溶かされる病気ですし、歯がいかに酸に弱いものなのかがお分かりいただけるのではないでしょうか。

酸蝕症の原因

酸蝕症の主な原因は「私たちの身体の中に原因がある場合」と「外から入ってきたものに原因がある場合」が考えられます。例えば、逆流性食道炎の方や嘔吐することが多い方は、胃酸が逆流してくることにより歯が溶かされやすいので注意が必要です。

外から入ってくる原因には、酸性の強い食べ物や飲み物があります。酸も必要なものですから、たまに摂るのは構いませんが習慣的に摂取するのは避けるようにしましょう。酸性の強いものというと、酢やレモンなどを想像されるかもしれませんが、身近な飲み物も意外と酸性が強いことがあります。

歯の表面を覆うエナメル質が溶け出しはじめるpHは5.5以下とされています。pH5.5以下に含まれる飲み物はとても多く、コーラなどの炭酸飲料・黒酢・スポーツドリンク・フルーツジュース・お酒など、言い出すとキリがないほど存在しています。あまりpHを気にしすぎると飲食を制限されてしまうので、うまく付き合っていくことが大切です。

酸蝕症を防ぐには

酸蝕症を予防する方法はいくつかあります。実際にできる予防法をみていきましょう。

まずは「飲食後、水ですすぐ」という方法。pHの低いものを口にした後には、おくちの中のpHも酸性へと傾いてしまいます。中性に近づけるためには、酸を洗い流してあげることが効果的です。うがいできる環境であれば、はやめに洗い流すようにしましょう。

「摂取回数を減らす」というのも有効です。摂取回数が増えると、それだけ酸にさらされる時間も長くなります。ダラダラ飲むのではなく時間を決めて、歯を酸から遠ざける時間を作ってあげましょう。

フッ素塗布で歯の質を強化することも、酸蝕症の予防に繋がります。大切なのは、歯を酸にさらす時間を短くすることです。酸に耐える性質のあるフッ素塗布も併用し、歯を酸から守りましょう。

酸蝕症の治療について

酸蝕症で溶けてしまった歯を元に戻すことはできません。大きく溶けている場合には、むし歯の治療のように被せ物や詰め物をいれるようになります。知覚過敏の症状がある場合には、知覚過敏を抑える薬剤も効果的です。

歯が透けてきている程度でしたら、定期的にフッ素を塗布して様子を見ることもあります。

酸蝕症になってしまったら、食生活の見直しが必要になります。何気なく摂っている嗜好品や、健康のためにと飲んでいるものが酸蝕症の原因だった、ということも少なくありません。溶けた歯を治療するだけでは原因が取り除けないため、同じ症状を繰り返してしまいがちです。

酸蝕症の治療が済んだら、普段の食生活を見直してみましょう。食生活の見直しは、酸蝕症の予防だけでなく、さまざまな病気の予防や改善にも繋がります。

酸蝕症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。原因から対処法まで、私たちと一緒に考えていきましょう!