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2025.04.13 ブログ

歯の神経を取る治療(根管治療)ってどんなことをするの?

~歯を残すための最後の砦とラバーダム防湿の大切さ~

虫歯が深く進行すると、冷たいものがしみたり、ズキズキとした痛みが出たりします。こうした状態になると、「歯の神経を取る治療=根管(こんかん)治療」が必要になることがあります。
今回は、この根管治療とはどんな治療なのか、そして治療の成功率を高めるために欠かせない「ラバーダム防湿」についてもお話しします。


■根管治療ってなに?

根管治療とは、虫歯菌に感染してしまった「歯の神経(正式には歯髄)」を取り除き、歯の内部をきれいに掃除・消毒して、薬剤を詰める治療のことです。
歯の中には「根管」と呼ばれる非常に細くて複雑なトンネルがあり、その中に神経や血管が通っています。虫歯がこの神経まで到達すると、炎症や感染が起こり、激しい痛みや腫れを引き起こすことがあります。

その状態を放置すると、歯の根っこの先に膿がたまり、「根尖性歯周炎」や「歯根嚢胞」などの状態に進行してしまうこともあります。
これらの症状を改善し、歯を抜かずに残すために行うのが、根管治療なのです。


■どんな流れで治療が行われるの?

根管治療は一回で終わることもありますが、多くの場合、数回に分けて行われます。以下は一般的な流れです。

  1. レントゲンやCTで状態の確認
     歯の中の状態、根の数や形、膿の有無を確認します。
  2. 虫歯の除去と歯の神経の除去
     虫歯をしっかり削り取り、神経を丁寧に取り除きます。
  3. 根管内の清掃と消毒
     特殊な器具を使って、感染した歯の内部を徹底的に清掃・洗浄します。
  4. 薬の仮詰めと経過観察
     一時的に薬を詰めて、炎症が落ち着くまで数日~数週間経過を見ます。
  5. 最終的な根管充填
     問題がなければ、最終的な薬剤を根管内に密閉して封鎖します。
  6. 土台と被せ物の装着
     歯の強度を補うための土台を入れ、最後に被せ物(クラウン)で形を整えます。

■なぜ何度も通う必要があるの?

根管はとても細く、曲がっていたり枝分かれしていたりするため、完全にきれいにするには時間と慎重さが必要です。
また、細菌を完全に取り除かないと再感染を起こし、最悪の場合、再治療や抜歯が必要になることもあります。

一回で終わらせようとすると、逆に成功率が下がってしまうことがあるため、丁寧に、段階的に治療を進めていくのが理想です。


■成功率を上げるカギ「ラバーダム防湿」とは?

根管治療の成功には、**「無菌的な環境」**がとても重要です。
歯の中に雑菌が入ってしまうと、治療が台無しになることもあります。
そこで重要なのが、「ラバーダム防湿」です。

▶ ラバーダムとは?

ラバーダムとは、ゴム製のシートを使って、治療する歯だけを口の中から隔離する装置です。
これにより、唾液や細菌が治療中の歯の中に入らないように防ぐことができます。

▶ ラバーダムの効果は?

  • 治療中の再感染を防ぐ
  • 使用する器具や薬剤の誤飲・誤嚥を防止
  • 視野がはっきりしてより正確な治療が可能に
  • 患者さんの不快感も減らす

まさに、根管治療を安全かつ清潔に行うための必須アイテムなんです。


■当院では小児歯科にもラバーダムを導入しています!

実はラバーダム防湿は、大人の治療だけでなく、お子さんの治療でも非常に有効です。
特に乳歯や生えたばかりの永久歯の虫歯治療では、唾液による再感染や薬剤の誤飲のリスクをしっかり防ぐ必要があります。

▶ 小児治療でのラバーダムのメリット

  • 治療部位が見やすくなり、処置がスムーズに
  • 唾液が入り込まないため、薬剤の効果を最大限に発揮
  • 器具の誤飲を防げるので安全性アップ
  • お子さん自身の動きにも対応しやすい

当院では、小児歯科の診療でもラバーダム防湿の使用率が高く、
**“なるべく怖くなく、安心できる治療”**を目指しています。

「子どもが泣いてしまうかも…」と心配される親御さんもいらっしゃいますが、
当院ではやさしく声かけしながら、お子さんのペースに合わせて処置を進めていますので、どうぞご安心ください😊


■根管治療を受けた歯は一生使えるの?

根管治療を行った歯は、神経を取っているため「枯れ木」のような状態になります。
つまり、もろくなりやすく、割れるリスクが高いのです。

そのため、土台や被せ物(クラウン)をしっかり装着することがとても大切ですし、咬み合わせの力が強すぎる場合にはマウスピースの使用などの対策が必要です。

また、定期的なメンテナンスを受けて、再感染の兆候がないかをチェックすることも忘れてはいけません。


■まとめ:根管治療は歯を守る最終手段

根管治療は、虫歯が進行してしまったときに「歯を抜かずに残す」ための最後の選択肢です。
治療には数回の通院が必要で、丁寧な処置が求められますが、ラバーダム防湿を使用することで、より高い成功率が期待できます。

当院では、小さなお子さんから大人の方まで、患者さん一人ひとりに合わせた安心・安全な治療を心がけています。
歯の違和感や痛みが気になるときは、どうぞお気軽にご相談ください。