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2026.11.08 ブログ

歯医者に聞きたいけど、聞けなかった10の質問

第3回「高い治療を断ったら、歯医者さんは嫌な顔をするの?」

院長メッセージ

こんにちは。

京都府木津川市にある「さがなかの歯医者さんやまもと」院長の山本真志です。

シリーズ「歯医者に聞きたいけど、聞けなかった10の質問」。

第3回です。

今回のテーマは、患者さんがなかなか口にできない、少しデリケートな質問です。

「高い治療を断ったら、歯医者さんは嫌な顔をするの?」

歯科医院で虫歯の治療を受けている時、先生からこんな説明を受けたことはありませんか?

「保険診療なら、この材料が使えます」

「自費診療なら、こちらの方法もあります」

「こちらは費用が少し高くなりますが、こういう特徴があります」

説明を聞いて、良さそうだと思う。

でも、金額を聞くと迷ってしまう。

家族のこともある。

生活費もある。

子どもの教育費もある。

今はそこまでお金をかけられない。

そんな時、

「保険の治療でお願いします」

と言いたいけれど、何となく言いづらい。

断ったら先生が嫌な顔をするのではないか。

その後の治療が雑になったりしないだろうか。

そんな不安を感じたことはないでしょうか。

今日は、この質問に歯科医師として本音でお答えしたいと思います。

最初に、僕の答えをお伝えします。

「自費診療を断ったからといって、患者さんへの接し方や診療に対する姿勢が変わることはありません。」

そして、もう一つ。

「患者さんには、自分が納得できる治療を選ぶ権利があります。」

これは、僕が歯科医師として大切にしている考え方です。


そもそも、なぜ自費診療を提案するのか?

患者さんからすると、自費診療の説明を受けた時に、

「高い治療を勧められている」

と感じることがあるかもしれません。

確かに、保険診療と自費診療では費用が大きく異なる場合があります。

でも、歯科医師が自費診療を提案する理由は、必ずしも「高い治療を選んでほしいから」ではありません。

保険診療には、使用できる材料や治療方法について一定のルールがあります。

一方、自費診療では、保険診療の範囲外にある材料や治療方法を選べる場合があります。

例えば、被せ物。

見た目の自然さ。

材料の特徴。

治療方法の違い。

こうした点を考えた時、自費診療が選択肢になることがあります。

ただし、

「自費診療だから絶対に良い」「保険診療だから悪い」ということではありません。

患者さんのお口の状態や希望によって、適した治療は異なります。

だからこそ僕は、選択肢がある場合には、その違いをきちんとお伝えしたいと思っています。


「説明すること」と「押し売りすること」は違います

ここは、今回特に伝えたいところです。

僕は、歯科医師には治療の選択肢を説明する責任があると思っています。

もし自費診療という選択肢があるのに、その説明をしなかったらどうでしょうか。

患者さんは、その治療方法が存在することすら知らないまま、治療を終えることになります。

後になって、

「そんな方法もあったんですか?」

と言われるかもしれません。

それは、僕自身が患者だったら残念に感じると思います。

だから、選択肢はできるだけ説明したい。

でも、

説明したからといって、その治療を選んでもらう必要はありません。

ここが大切です。

選択肢を伝えることと、特定の治療を押しつけることは、まったく違います。

歯科医師の役割は、患者さんが判断するための情報を提供すること。

そして、患者さん自身が納得できる選択を支えることだと思っています。


僕が患者だったら、費用は当然気になります

ここで少し、立場を変えて考えてみます。

もし僕自身が患者だったら。

治療方法を説明されて、

「こちらは10万円です」

「こちらは保険診療で対応できます」

と言われたら。

僕だって、金額は気になります。

家族がいます。

生活があります。

ほかにもお金を使いたいことがあります。

だから、

「費用が高いので、今回は保険診療にしたいです」

という気持ちは、ごく自然なものだと思います。

それを理由に、患者さんが申し訳なく感じる必要はありません。

治療費を考えることは、歯を大切にしていないという意味ではありません。

自分の生活や家族のことまで考えて治療を選ぶ。

それも大切な判断です。


保険診療を選ぶことは、妥協ではありません

「本当は自費の方がいいんでしょうけど、今回は保険で……」

そんなふうに、申し訳なさそうにお話しされる方がいます。

でも、僕は保険診療を選ぶことが、必ずしも妥協だとは思っていません。

日本の保険診療は、一定のルールの中で必要な歯科医療を受けられる大切な制度です。

もちろん、材料や方法に制限があることも事実です。

それでも、保険診療によって歯の機能を回復し、健康を維持できるケースはたくさんあります。

だから僕は、

「保険だから仕方なく治療する」という考え方はしたくありません。

保険診療を選ばれたなら、その条件の中で適切な治療を行う。

自費診療を選ばれたなら、その治療の特徴や目的に応じて適切に行う。

どちらも、歯科医師として責任を持って向き合うべき治療です。


自費診療を選ばないと、治療が雑になる?

今回の質問の中で、患者さんが一番不安に思っている部分かもしれません。

「高い治療を断ったら、先生の態度が変わるのでは?」

「保険の治療だと、手を抜かれるのでは?」

こうした不安に対して、僕ははっきりお伝えしたいと思います。

保険診療でも自費診療でも、患者さんの安全や健康を大切にする姿勢は変わりません。

もちろん、選んだ治療方法によって、使用する材料や工程、費用などに違いが生じることはあります。

しかし、それは患者さんへの思いやりや、診療に対する責任が変わるということではありません。

僕は、支払う金額によって患者さんへの接し方が変わる歯科医院にはしたくありません。

なぜなら、

患者さんの価値は、治療費で決まるものではないからです。


断ることは、歯科医師を否定することではありません

自費診療を断ることに、罪悪感を持つ必要はありません。

歯科医師が提案した治療を選ばなかったとしても、それは歯科医師自身を否定したことにはなりません。

治療方法を選ぶのは、患者さん自身です。

歯科医師が考える医学的なメリット。

患者さんが大切にしている生活や価値観。

その両方を考えながら、治療を決めていく必要があります。

例えば、

「今回は保険診療でお願いします」

「もう少し家族と相談したいです」

「今すぐには決められません」

「ほかの方法も聞きたいです」

どれも、遠慮せずに伝えていただきたい言葉です。

ただし、医学的に必要な治療を長期間先延ばしにすると、病状が悪化する可能性もあります。

その場合には、治療を急いだ方がよい理由もきちんと説明します。

患者さんの希望を尊重することと、医学的に必要な説明をすることは、どちらも大切です。


僕が一番避けたいのは「納得していない治療」

歯科医師として、僕が避けたいことがあります。

それは、

患者さんが十分に納得していないまま治療を受けること

です。

先生に勧められたから。

断りにくかったから。

何となく高い方が良さそうだったから。

そんな理由だけで治療を決めてしまうと、後から後悔につながることがあります。

もちろん、治療結果を完全に保証することはできません。

でも、治療を始める前に、

なぜその方法を選ぶのか。

どんなメリットがあるのか。

どんなデメリットがあるのか。

費用はどれくらいか。

ほかに選択肢はあるのか。

そこまで理解していただくことは、とても大切だと思っています。

良い治療は、患者さんが納得して選ぶところから始まる。

僕はそう考えています。


「先生だったらどうしますか?」も大歓迎です

治療方法に迷った時、

「先生自身だったら、どちらを選びますか?」

と聞いていただいても構いません。

僕自身ならどう考えるか。

何を優先するか。

その理由は何か。

できるだけ率直にお話ししたいと思っています。

ただし、僕自身の選択が、すべての患者さんにとって正解とは限りません。

年齢も違います。

生活も違います。

価値観も違います。

経済的な事情も違います。

だからこそ、僕の考えを一つの参考にしていただきながら、患者さん自身が納得できる方法を一緒に探したいと思っています。


私たちが大切にしている「話をしましょう」

私たちの医院には、大切にしている診療理念があります。

それは、

「話をしましょう」

です。

これは、治療の説明を一方的にするという意味ではありません。

患者さんの希望を聞く。

不安を聞く。

費用についての考えを聞く。

そして、どんな治療がその方に合っているのかを一緒に考える。

僕は、そういう診療を大切にしたいと思っています。

お金の話は、少ししにくいかもしれません。

でも、治療費は患者さんの生活に関わる大切なことです。

だから、

「予算はこれくらいです」

「今回は保険診療で考えています」

「自費診療にも興味はありますが、費用が心配です」

そんなことも、遠慮なく話してください。

費用について安心して話せることも、信頼できる歯科医院の大切な条件だと思っています。


結局、高い治療を断ったら嫌な顔をするの?

今回の質問に、最後にもう一度答えます。

「高い治療を断ったら、歯医者さんは嫌な顔をするの?」

僕の答えは、

「いいえ。少なくとも僕は、断られたからといって患者さんへの気持ちは変わりません。」

です。

自費診療を選ぶことが正解なのではありません。

保険診療を選ぶことが間違いなのでもありません。

大切なのは、自分のお口の状態を理解し、治療方法の違いを知り、納得して選ぶことです。

そして、どの治療方法を選んだとしても、その後の歯を大切にしていただきたいと思っています。


最後に

歯科治療には、いろいろな選択肢があります。

その中には、費用が高い治療もあります。

だからこそ、迷うのは当然です。

すぐに決められなくても構いません。

家族と相談しても構いません。

保険診療を希望しても構いません。

分からないことがあれば、何度でも聞いてください。

私たちの経営理念は、

「やさしさと笑顔がめぐる歯医者さん」

です。

僕は、その理念の中には、患者さんが安心して自分の希望を伝えられることも含まれていると思っています。

「高い治療を選ばないと、先生に申し訳ない」

そんな気持ちで治療を受けてほしくありません。

歯科医師の顔色を見て、治療方法を選ぶ必要もありません。

患者さんが選ぶべきなのは、歯科医師が喜ぶ治療ではなく、自分自身が納得できる治療です。

僕たちは、その選択を支える存在でありたいと思っています。

治療費によって、患者さんの価値は変わりません。

選んだ材料によって、患者さんへの思いやりが変わることもありません。

だから、安心して話してください。

「先生、今回は保険の治療でお願いします。」

その一言を、遠慮なく言える歯科医院でありたい。

そして、その選択をした患者さんにも、

「ここに相談してよかった」

と思っていただける歯科医院でありたい。

それが、僕の目指す歯科医療です。


次回予告

第4回「歯医者さんを途中で変えたら、先生は怒るの?」

今通っている歯科医院に不安がある。

ほかの先生の意見も聞いてみたい。

引っ越しや仕事の都合で通いにくくなった。

でも、

「途中で歯医者を変えたら失礼かな?」

「先生に嫌われるかな?」

「治療途中で別の医院に行っても大丈夫?」

そんな疑問を持ったことはありませんか?

次回は、患者さんがなかなか聞けない「転院」と「セカンドオピニオン」について、歯科医師として本音でお話しします。

「歯医者を変えることは、裏切りなのか?」

この質問に、正面からお答えします。