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2026.10.11 ブログ

歯科医師の僕なら、こう選ぶ。

第9回「もし僕が『歯並びを治したい』と思ったら、何を基準に矯正を選ぶのか?」

院長メッセージ

こんにちは。

さがなかの歯医者さんやまもと 院長の山本真志です。

シリーズ、

「歯科医師の僕なら、こう選ぶ。」

第9回です。

今回のテーマは、

「もし僕が歯並びを治したいと思ったら、何を基準に矯正を選ぶのか?」

です。

最近は、歯並びに関心を持つ方が増えています。

SNSを見れば、きれいに並んだ白い歯。

マウスピース矯正の広告。

短期間で歯並びが変わったという写真。

そうした情報を目にする機会も多くなりました。

患者さんからも、

「先生、マウスピース矯正ってどうなんですか?」

「大人になってからでも歯並びは治せますか?」

「できれば歯を抜かずに矯正したいんです」

といったご相談をいただきます。

では、もし歯科医師である僕自身が、

「自分の歯並びをきれいにしたい」

と思ったら、どうするのか。

最初に答えを言います。

僕なら、いきなり矯正方法を選びません。

まず考えるのは、

「なぜ歯並びを治したいのか。そして、治すことで何を手に入れたいのか」

です。

今日はその理由について、本音でお話しします。


そもそも、歯並びは見た目だけの問題ではありません

歯並びが気になる理由として、一番多いのは見た目かもしれません。

前歯が重なっている。

歯と歯の間に隙間がある。

出っ歯が気になる。

笑った時に歯並びが目立つ。

こうした悩みは、決して小さなものではありません。

歯並びが気になって、人前で思いきり笑えない。

写真を撮る時、口を閉じてしまう。

そんな方もいらっしゃいます。

だから僕は、見た目を良くしたいという希望も、とても大切だと思っています。

ただし、もし自分自身が矯正治療を受けるなら、見た目だけでは決めません。

なぜなら、歯には見た目以外にも大切な役割があるからです。

食べ物を噛む。

発音を助ける。

上下の歯で力を受け止める。

そして、毎日清潔に保つ。

つまり、

歯並びは「見た目」と「機能」の両方から考える必要がある

ということです。


僕なら「歯をきれいに並べること」だけをゴールにしません

例えば、前歯がきれいに一直線に並んだとします。

鏡を見ると、とても美しい。

でも、奥歯でうまく噛めない。

一部の歯に強い力が集中する。

歯ぐきに問題が起こる。

もしそんな状態になったら、僕自身は満足できません。

もちろん、矯正治療は見た目と噛み合わせの改善を目指すものです。

しかし、治療の目標を考える時には、歯の位置だけではなく、歯を支える骨や歯ぐき、顎の状態なども確認する必要があります。

だから僕なら、

「どれくらいきれいに並びますか?」だけではなく、「治療後、どんな噛み合わせになりますか?」

と聞きます。

歯並びは、完成した日の写真だけで評価するものではありません。

その後も長く使っていくものだからです。


マウスピースとワイヤー、僕ならどちらを選ぶ?

ここは皆さんが気になるところだと思います。

透明で目立ちにくいマウスピース矯正。

昔から広く行われているワイヤー矯正。

では、歯科医師自身ならどちらを選ぶのか。

僕の答えは、

「自分の歯並びに適した方法を選びます」

です。

マウスピース矯正には、取り外して食事や歯磨きができるというメリットがあります。

装置が比較的目立ちにくいことも魅力です。

一方で、決められた装着時間を守る必要があります。

歯の動かし方や症例によっては、ワイヤー矯正の方が適している場合もあります。

ワイヤー矯正は、さまざまな歯の移動に対応できる一方で、装置の周囲が磨きにくくなるなどの注意点があります。

僕なら、

「目立たないからマウスピース」

「昔からあるからワイヤー」

という選び方はしません。

まず診断。

その結果として治療方法を選びます。

治療方法を先に決めて、自分の歯をそれに合わせるのではなく、自分の歯に合った治療方法を選びたい。

僕ならそう考えます。


「歯を抜かない矯正」が必ず良いとは思いません

これは、少し踏み込んだ話です。

患者さんから、

「できれば歯を抜かずに矯正したいです」

と言われることがあります。

その気持ちはよく分かります。

僕自身も、健康な歯を抜かずに済むなら、その方がいいと思います。

でも、

「抜歯しないこと」が矯正治療の最優先事項になるとは限りません。

歯をきれいに並べるためには、スペースが必要です。

顎の大きさに対して歯が大きい場合や、前歯の位置を大きく変える必要がある場合には、抜歯を検討することがあります。

無理に歯を並べようとすると、歯が骨の範囲から不適切な方向へ移動し、歯ぐきや歯周組織に負担がかかる可能性もあります。

だから僕なら、

「絶対に抜かないでください」

とは言いません。

まず、

「抜歯する場合としない場合で、治療結果やリスクはどう違いますか?」

と聞きます。

天然の歯を大切にすることと、何が何でも抜かないことは同じではありません。

僕が守りたいのは、歯の本数だけではなく、その歯を長く健康に使える未来です。


僕なら矯正を始める前に、虫歯と歯周病を確認します

歯並びをきれいにしたい。

その気持ちが強いと、早く矯正を始めたくなるかもしれません。

でも僕なら、その前に必ず確認します。

虫歯はないか。

歯ぐきに炎症はないか。

歯周病は進んでいないか。

毎日の歯磨きは十分にできているか。

なぜなら、矯正治療中も虫歯や歯周病のリスク管理が必要だからです。

特に歯周病が進行している場合には、歯を動かす前に歯周組織の状態を安定させることが重要になります。

だから僕なら、

「まず健康な口の中をつくってから、歯並びを整える」

という順番を大切にします。

美しい歯並びの土台には、健康な歯と歯ぐきが必要です。


大人になってからの矯正は遅いのか?

「もう40代だから」

「50歳を過ぎているから」

と、矯正治療を諦めている方もいらっしゃいます。

でも、成人だからという理由だけで矯正治療ができなくなるわけではありません。

大切なのは年齢そのものよりも、歯や歯周組織、全身の状態などです。

ただし、成人では歯周病や過去の治療など、考慮すべき条件が増える場合があります。

僕自身なら、年齢だけで諦めることはしません。

その代わり、

「今の自分の口の状態で、どこまで安全に改善できるのか」

をきちんと確認します。


僕なら「治療が終わった後」のことも聞きます

矯正治療は、歯がきれいに並んだら終わり。

そう思われがちです。

でも、実際にはその後の管理も非常に大切です。

矯正治療後の歯には、元の位置に戻ろうとする傾向があります。

そのため、保定装置(リテーナー)を使用して歯並びを安定させる必要があります。

僕なら、矯正を始める前に、

「治療後はどれくらい保定が必要ですか?」

「どんな装置を使いますか?」

「その後の定期的なチェックはどうなりますか?」

と確認します。

僕にとって矯正治療のゴールは、装置が外れた日ではありません。

5年後、10年後も、整えた歯並びをできるだけ良い状態で維持すること。

そこまで含めて治療を選びたいと思います。


僕なら「誰に治療してもらうか」をかなり大切にします

ここは、今回特に伝えたいことです。

矯正治療には専門的な診断と技術が必要です。

歯の移動だけでなく、顎の骨格、噛み合わせ、歯周組織などを総合的に考えなければなりません。

だから僕自身が矯正治療を受けるなら、

「どんな装置を使うか」以上に「誰に診てもらうか」

を重視します。

十分な検査をしてくれるか。

治療目標を説明してくれるか。

抜歯・非抜歯の判断に納得できるか。

リスクや限界についても話してくれるか。

治療後の管理まで考えてくれるか。

そうした点を大切にします。

私たちの医院でも、成人の矯正治療については専門的な診療を行う歯科医師への紹介を基本としています。

それは、矯正治療を軽く考えているからではありません。

むしろ逆です。

患者さんにとって適切な専門的治療を受けていただくことが大切だと考えているからです。

すべての治療を一つの医院で完結することだけが、良い歯科医療だとは思いません。

必要な時には、その分野を専門とする先生と協力する。

僕自身が患者だったとしても、そういう医療を受けたいと思います。


歯並びを治すことで、本当に手に入れたいもの

ここまで治療方法についてお話ししてきました。

でも、最後にもう一つ考えたいことがあります。

そもそも、なぜ歯並びを治したいのでしょうか。

人前で思いきり笑いたい。

写真を撮る時に口元を隠したくない。

歯磨きをしやすくしたい。

噛み合わせを改善したい。

ずっと気になっていたコンプレックスを解消したい。

理由は人それぞれです。

僕は、どの理由も大切だと思います。

歯並びを整えることによって、口元への自信が生まれる方もいます。

一方で、歯並びを治せば人生の悩みがすべて解決するわけではありません。

だからこそ、過度な期待ではなく、現実的な治療目標を持つことが大切です。

僕自身なら、

「歯をきれいに並べること」ではなく、「治療後の自分が、今より自然に笑えて、健康に過ごせること」

を目標にしたいと思います。


結局、僕ならどうする?

今回の答えです。

もし僕自身が歯並びを治したいと思ったら、

まず、

なぜ治したいのかを明確にします。

見た目なのか。

噛み合わせなのか。

清掃のしやすさなのか。

そのうえで、矯正治療に詳しい歯科医師に相談します。

必要な検査を受けます。

歯や歯ぐきの状態を確認します。

マウスピースとワイヤーの違いを聞きます。

抜歯する場合としない場合のメリット・デメリットを理解します。

治療期間や費用、リスクについても確認します。

そして、治療後の保定まで考えます。

その結果、

自分にとって矯正治療のメリットが十分にあると納得できれば、僕は治療を選びます。

反対に、リスクや負担がメリットを上回ると判断した場合には、無理に治療しないという選択も考えます。

歯並びが気になるからといって、必ず矯正しなければならないわけではありません。

大切なのは、自分の希望と歯の状態に合った選択をすることです。


最後に

歯並びを治したい。

その気持ちは、とても自然なものです。

見た目が気になることもあるでしょう。

噛み合わせが気になることもあるでしょう。

でも、治療を始める前に、一度考えてみてください。

「自分は、矯正治療によって何を手に入れたいんだろう?」

そして、その希望を歯科医師に伝えてください。

私たちが大切にしているのは、

「話をしましょう」

ということです。

患者さんが何を大切にしているのか。

何に悩んでいるのか。

どんな未来を望んでいるのか。

そこを聞かずに、治療方法だけを決めることはしたくありません。

僕自身なら、

一番目立たない矯正装置を選ぶことよりも、

一番短い治療期間を選ぶことよりも、

自分の歯を健康に保ちながら、納得できる結果を目指せる治療

を選びたいと思います。

なぜなら、矯正治療の本当の価値は、歯が一直線に並ぶことだけではないからです。

僕が手に入れたいのは、きれいに並んだ歯ではなく、その歯で一生笑える未来です。


次回予告

最終回・第10回「もし僕が一生通う歯医者を選ぶなら、何を基準に選ぶのか?」

治療技術?

最新設備?

口コミ?

通いやすさ?

料金?

もちろん、どれも大切です。

でも、歯科医師である僕自身が、一生自分の歯を任せる歯医者を選ぶとしたら、もっと大切にしたいことがあります。

それは、

「この先生に、自分の未来を任せたいと思えるかどうか。」

最終回では、歯科医師が本音で考える「本当に信頼できる歯科医院の条件」についてお話しします。