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2026.07.12 ブログ

10年後に後悔しないための歯の教科書

第6回「『痛くないから大丈夫』が一番危険な理由」

院長メッセージ

こんにちは。

さがなかの歯医者さんやまもと 院長の山本真志です。

歯科医院で診療をしていると、本当によく耳にする言葉があります。

「先生、痛くなかったので来ませんでした。」

「忙しくて行けなかったんです。」

「痛みが出たら行こうと思っていました。」

私はこの言葉を聞くたびに、

「もっと早くお会いできていたら…」

と思います。

なぜなら、歯科医師として長年診療してきた中で、一つだけ確信していることがあるからです。

「痛くない=健康」ではありません。

むしろ歯科の病気は、

痛くない時期に静かに進行していることが多い

のです。

今日は、なぜ「痛くないから大丈夫」という考え方が危険なのか、本気でお話ししたいと思います。


私たちは「痛み」でしか判断できない

人は、体からのサインを「痛み」で受け取ります。

頭が痛ければ頭痛薬を飲む。

お腹が痛ければ病院へ行く。

この考え方は自然なことです。

だから歯も、

「痛くなったら歯医者へ」

と思ってしまいます。

でも、歯だけは少し違います。

歯科の病気は、

痛みが出た時には、かなり進行していることがある

からです。


虫歯は静かに進む

虫歯は、いきなり激しく痛くなるわけではありません。

最初は歯の表面だけが少し溶ける程度です。

この段階では、

ほとんど症状がありません。

少しずつ虫歯が深くなり、

冷たい物がしみるようになります。

さらに進むと、

温かい物でも痛みが出ます。

そして最後には、

何もしなくてもズキズキ痛むようになります。

つまり、

「痛い」と感じた頃には、神経の近くまで虫歯が進んでいることも少なくありません。

もし初期の段階で見つけることができれば、

歯を削る量も少なく済み、

神経を守れる可能性も高くなります。


歯周病はもっと静かです

虫歯以上に怖いのが歯周病です。

歯周病は、

ほとんど痛みがありません。

歯ぐきから少し血が出る。

少し口臭が気になる。

その程度で進行することがあります。

ところが、

痛みがないため、

「まだ大丈夫。」

と思ってしまいます。

その間にも、

歯を支える骨は少しずつ失われています。

そしてある日突然、

「歯がグラグラします。」

という状態で来院されます。

その時には、

抜歯しか選択肢がないこともあります。


痛みは「最後のサイン」

私は患者さんに、

こんな例え話をすることがあります。

火事を想像してください。

煙が出た時点で気づけば、

小さな消火器で消せるかもしれません。

でも、

家全体が燃えてから消防車を呼んでも、

被害は大きくなります。

歯も同じです。

痛みは、

最初のサインではありません。

最後のサイン

であることが多いのです。

だから私たちは、

痛みが出る前に診せていただきたいのです。


「忙しい」は誰にでもある

「仕事が忙しくて。」

「子どもが小さいから。」

「なかなか時間が取れなくて。」

これも本当によく聞く言葉です。

もちろん、そのお気持ちはよく分かります。

私自身も仕事をしながら子育てをしているので、

時間を作る大変さは実感しています。

でも、

だからこそお伝えしたいのです。

忙しいからこそ、

予防が大切なのです。

虫歯や歯周病が進行してしまえば、

何度も通院が必要になります。

1回30分の定期検診を後回しにした結果、

何時間もの治療が必要になることもあります。

「時間がないから行かない」が、

結果としてもっと時間を失うことにつながることもあるのです。


定期検診は「安心を確認する時間」

定期検診というと、

「何も悪くないのに行くのはもったいない。」

そう思われる方もいます。

でも私は逆だと思っています。

何も悪くないことを確認するために行く。

これが一番価値があります。

異常がない。

歯ぐきも健康。

虫歯もない。

この結果は、

決して「何もなかった」ではありません。

健康を維持できているという、とても良い結果です。


歯を守れる人は「違和感」を大切にする

長年診療していると、

歯を長く残せる方には共通点があります。

それは、

小さな変化を見逃さないことです。

「少ししみる。」

「何となく違和感がある。」

「食べ物が詰まりやすくなった。」

その段階で相談に来られます。

その結果、

小さな治療で終わることが多いのです。

反対に、

「そのうち治ると思っていました。」

という方ほど、

治療が大きくなる傾向があります。


私たちが「痛くなくても来てください」と言う理由

歯科医院は、

患者さんに何度も

「定期検診に来てください。」

とお伝えします。

それは決して、

通院回数を増やしたいからではありません。

歯科医師として、

本当に見てきたからです。

もっと早ければ守れた歯を。

もっと早ければ神経を残せた歯を。

もっと早ければ抜かずに済んだ歯を。

その経験があるから、

何度でも伝えたいのです。

「痛くなくても来てください。」

その一言には、

患者さんの10年後、20年後を守りたいという想いが込められています。


最後に

痛みは、

体からの大切なサインです。

でも歯に関しては、

そのサインを待っていては遅いことがあります。

だからこそ、

何もない時に歯科医院へ行く。

それが、

未来の自分への一番大きなプレゼントになります。

10年後も、

好きなものを美味しく食べるために。

20年後も、

自分の歯で笑い続けるために。

「痛くないから大丈夫」ではなく、

「痛くない今だからこそ守ろう。」

そんな考え方が広がれば、歯を失う人はもっと減らせると私は信じています。